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カルシウムの環境保全効果

カルシウムと悪臭

カルシウムの化学的効果

  • 水酸化カルシウム(消石灰)の水酸化物イオン(陰イオン=俗称マイナスイオン)が、悪臭物質(陽イオン=俗称プラスイオン)と結合して、無臭の化合物を生成する。

※硫化水素(卵の腐敗臭)を無臭の二硫化物や硫化物塩に変える。

  • アンモニウムイオン(プラスイオン)はカルシウムイオン(プラスイオン)と置き換わるため、一時的に(初期の段階で)悪臭が発生する。

※消石灰には処理物質からアンモニアを発散させる効果がある。

  • 化学的に水酸化アンモニウムは生成しにくい。

 

カルシウムの生物的効果

  • 消石灰の水酸化物イオン(マイナスイオン)の高いPHにより、悪臭の発生源となる微生物の代謝活性を抑制する。

 

カルシウムの物理的効果

  • 消石灰が地下水や雨水に含まれる炭酸や大気中の二酸化炭素と結合して、炭酸カルシウム(石灰石)に変化する過程で、悪臭物質や悪臭源微生物を吸着しながら包み込む。

 

カルシウムと細菌

カルシウムによる細菌数の減少

  • 有機性汚泥の安定化処理で、最も一般的なものとして嫌気性消化があるが、消石灰による安定化処理を行うと、高いPHの影響で細菌数が10分の1から1000分の1に減少する。
  • 大腸菌群はPH10以上では、ほとんど死滅する。
  • 消石灰の飽和溶液はPH12.6になる。

 

カルシウムと有機物

嫌気性消化と好気性消化による分解物質

  • 有機物は嫌気性消化により、液化(有機酸やアルコール類)した後に、二酸化炭素とメタン、及び水に分解する。
  • 好気性消化では、単純に二酸化炭素と水に分解する。

カルシウムと窒素

  • 有機物中の窒素(主にタンパク質)は、加水分解性の窒素で、嫌気性条件下ではアンモニア態窒素(NH)として、好気性条件下では硝酸態窒素(NO)として無機化する。ただし、アンモニア態窒素は硝酸態窒素に変わりやすい。
  • 自然界に存在するのは硝酸態窒素の方が圧倒的に多く、消石灰のカルシウムイオンと結合して硝酸カルシウムに変化する。この硝酸カルシウムは水溶性で、即効性の肥料として利用される。

※微生物は窒素分(アミノ酸)を多量に含む。

  • 硝酸カルシウムは130℃で結晶化し、強熱を加えると酸化カルシウムと窒素酸化物 とに分解する。

 

カルシウムとアンモニア

  • 消石灰の添加により、アンモニアの溶出が促進されることについては定説がない。
  • 嫌気性状態で土壌コロイド中のマイナスイオンに吸着されていたアンモニア態窒素イオン(NH)が、カルシウムイオン(Ca)と置き換わるという説が有力。
  • アンモニアは水に極めて溶けやすく、水溶液中では次のように解離している。

NH+ HO ⇒ NH+ OH

 

カルシウムとリン

  • 自然界でのリンは、単体ではなくリン酸として存在している。
  • リン酸は消石灰と結合してリン酸カルシウムに変化する。
  • リン酸カルシウムは不溶性で安定している。

 

カルシウムとカリウム

  • カリウムは極めて水に溶けやすい物質なので、処理物質に含まれていることは少ない。あっても微量のため、カルシウムとの関係は無視してよい。

 

カルシウムによる有機物の分解促進効果

  • 有機物が好気的に分解するには酸素が必要になる。貧酸素状態で好気性消化が進むと嫌気性消化に変わり、分解速度が急激に落ちる。
  • カルシウムにより嫌気性消化を抑制すると、貧酸素状態においても好気的雰囲気を持続するため、結果的に有機物の分解を促すことになる。
  • 有機物の分解には微生物による生物分解だけでなく、酸やアルカリ、熱や水などによる化学的分解もある。
  • カルシウムにより好気性菌の代謝活性を抑制する作用が懸念されるが、大気との接触により消石灰の中和が促進された後、外部から好気性菌が移入して繁殖することになる。
  • 消石灰を凝集剤に利用した下水道汚泥は発酵・発熱しやすいという現実がある。これは、アルカリに強い微生物が発酵過程で活躍するためである。
  • 発酵はPH6〜9の間で進行しやすい。
  • 発酵のための含水率の適用範囲は50%〜65%。
  • 有機物はPH12以上では発酵しない。カルシウムのPH調整は炭酸ガスを利用する。

 

カルシウムによる有機物の化石化(石灰化)

  • 有機物を分解する微生物が死滅して、外部から空気や水の供給が遮断された状態でカルシウムイオンが大量に存在すると、有機物は分解せずに化石となる。
  • 有機物にカルシウムイオンが沈着することを石灰化という。
  • 化石は圧倒的に石灰岩の中から発見される。
  • 石灰分を50%以上含む岩石は、学術的に石灰岩として分類される。

 

カルシウムと底質

硫化水素の発生メカニズム

  • 河川、湖沼、港湾等の底質から発生する猛毒物質の硫化水素は、底質が嫌気性状態になり、安定していた硫化物(主に硫化鉄)が硫酸塩還元菌によって分解されるために発生する。

 

硫化水素発生の抑制効果

  • 消石灰の高いPHは、この硫酸塩還元菌の代謝活性を抑制する。

 

赤潮発生のメカニズム

  • 底質に堆積した有機物が、細菌により酸化分解されるため、水中の酸素を大量に消費しCOD値を上げる。また、有機物に含まれていた窒素やリンが水中に溶け出し富栄養化状態となりCOD値を更に上げる。COD値が上がると、植物プランクトンが増殖して海面を赤く染める。
  • 淡水域におけるアオコ(毒性藻類)の発生も同じメカニズム。
  • 富栄養化現象とこれによる藻類などの増殖には、光と適当な水温、窒素、リン、ミネラル類などが必要である。これらの要因のうち一つでも欠けた場合には藻類の増殖が抑制されることになる。我が国においては、リン(リン酸)の溶出濃度が最も大きな制限因子となる。
  • 窒素やリンを栄養分としてみた場合、窒素の濃度には適量がある(過剰障害が出やすい)が、リンは濃度が過剰になっても障害が出にくい。
  • 普通、リン酸は底質でリン酸鉄かリン酸アルミニウムを生成して安定しているが、嫌気性状態が進行すると分解してリン酸を溶出させる。このリン酸をカルシウムはリン酸カルシウムとして安定化する。
  • 窒素とリンに対する環境基準値は、水域により多少異なるものの、窒素はリンの10倍から20倍の許容値である。
  • 一般に、窒素は0.15ミリグラム/リットル、リンは0.02ミリグラム/リットル以上で富栄養化現象が起きると言われている。

 

青潮発生のメカニズム

  • 赤潮が発生するメカニズムに風が加わると、底質付近の硫化水素を含む無酸素水塊が浮上して、大気中の酸素と接触する。すると硫黄細菌により硫化水素が微粒状の硫黄になり海面を青く染める。

 

底質ヘドロの陸揚げによる土壌の酸性化

  • 底質は嫌気性状態のため硫化水素が発生し、鉄分と化合して硫化鉄が多く存在する。浚渫工事などで底質ヘドロを陸揚げすると硫化鉄の鉄分が大気中の酸素と反応して酸化鉄になり、硫黄分が雨水などの水分と反応して硫酸に変わる。
  • 土壌が酸性化すると安定していた有害物質が溶出してくる。

 

カルシウムによる主な底質改善効果

  • 底質からの硫化水素の発生を抑制するため、赤潮や青潮を防げる。
  • 陸揚げしたヘドロから生成する硫酸を中和して、安定した硫酸カルシウムに変えるため、土壌の酸性化と有害物質の溶出が防げる。
  • アンモニア性の窒素を除去し、硝酸性の窒素(底質には少ない)を水溶性の硝酸カルシウムに変える。
  • リン(リン酸)を不溶性のリン酸カルシウムとして固定する。
  • 海水中のマグネシウムを、溶解度の低い水酸化マグネシウムに変えて底質表層に沈殿させ、アルカリ作用を持続的にする。
  • 重金属類の多くを溶解度の低い水酸化物に変えて沈殿させる。
  • 水中の汚濁浮遊物質をカルシウムイオンが吸着して沈殿させる。
  • 原油の流出事故で海底に蓄積した油及び油を大量に含んだ底泥の硬化剤として使われている。
  • 水中に散布された消石灰は、普通1ヶ月から2ヶ月で炭酸カルシウムに変化する。

 

カルシウムと海産魚介類

  • 有害魚介類であるヒトデ類に対して、へい死率が高く、有用魚介類であるウニ類に対しては影響が少ない。
  • ホタテ貝、カキなどの養殖場において、ヒトデ駆除に利用されている。
  • ハマチや鯛の養殖場においてもあまり影響はなく、アコヤ貝や青ノリの養殖場においては、へい死率が低下したというデータがある。

 

カルシウムと農産物類

  • 一般に、トマト、ハクサイ、キャベツ、リンゴ、茶はカルシウム欠乏症の出やすい作物である。
  • インゲン、トウモロコシ、大豆、タマネギ、ブドウ等はアルカリに強い。
  • サトイモ、ゴマ、ソラマメ、クリ、カキ等は酸性土壌で生育する。
  • バラ、ツバキ、ツツジ等も酸性土壌を好む。
  • 一般に雑草は、PH3から8の間で生育する。

 

カルシウムと重金属類

水酸化物沈殿効果

  • 消石灰の水酸化物イオンが重金属イオンと結合して、ほとんどが溶解度の低い水酸化物を生成して安定化(不溶化)する。

 

置換固溶効果(六価クロム)

  • 水酸化物を生成しない重金属は、消石灰と処理物質とのポゾラン反応などによって生成する結晶鉱物:エトリンガイト(カルシウムとアルミニウムと硫黄の水和物)の硫黄の部分と置き換わり安定化する。
  • 六価クロムは水酸化物を生成しないが、三価クロムは不溶性の水酸化クロムを生成する。
  • 六価クロムは不安定で、酸性溶液中及び有機物の存在下で容易に三価クロムに還元される。一般に、安価な硫酸鉄や塩化鉄を利用して還元する。
  • 六価クロムは溶液のアルカリ性が高くなっても溶出濃度はあまり変化しない。ただし、PH12付近を超えると溶出濃度が激増する場合があるので注意が必要。

 

吸着包含効果(鉛)

  • 溶解度の高い重金属類の水酸化物は、ポゾラン鉱物や消石灰の炭酸化反応によって生成する炭酸カルシウムの結晶表面に吸着するか包み込む形で安定化する。
  • 吸着効果の大きい添加剤として、珪酸系のカルシウム水和物が期待できる。
  • 鉛は溶液のPHが9.6付近までは溶出濃度が減るが、これ以上になると激増する。
  • 鉛は硫化物を生成させて不溶化させるのが一般的。

 

低温沸点の重金属類(焼却処理により気化しやすいもの)

  • 水銀:357℃、ヒ素:615℃、カドミウム:765℃、亜鉛:907℃

鉛は1744℃、クロムは2485℃

※重金属類は、通常の場合、化合物として存在する。

重金属類の酸化物や塩化物は、上記の温度より沸点が低くなる傾向にある。

 

カルシウムとダイオキシン

  • 熱分解性の塩素化合物に、カルシウムを混合して燃焼すると塩化カルシウムを生成するためダイオキシンの発生を防止できる。
  • ダイオキシンをカルシウムで無害化できるかどうかは不明だが、微量物質であり、水にも溶けないので、吸着包含効果により、処理物質中に固定化できる。
  • 塩化カルシウムは水溶性、潮解性であるが、無水結晶の融点は772℃、沸点は1600℃であり、大量に生成すると焼却炉の内壁に付着する。

 

カルシウムと地盤改良

  • 通常、改良土の土粒子表面はマイナスイオン化しており、お互いに反発しあっている。ここにカルシウムが加わるとカルシウムイオン(プラスイオン)が接着剤となって土粒子を団粒化させる。このとき、余った水酸化物イオン(マイナスイオン)は重金属類を固定しつつ、ポゾラン反応を誘発させる。
  • 改良土の強度は、ポゾラン反応における結晶鉱物の生成に起因するため、数ヶ月から数年に渡り発現する。
  • ポゾラン反応における結晶鉱物は、改良土の隙間にゲル状となって発生し、周辺の水分と化合しながら結晶化していくため、抱水性が高く、気相(空間)が少ない。したがって、結晶鉱物化が進行するほど強度が増し、透水係数が低くなる。
  • 改良土は水の中でもポゾラン反応が進行し、強度の発現がある。
  • 関東ロームの場合、改良後3日目の強度に対して、1週間後では約1.5倍になり、1ヶ月後では約2.5倍、3ヶ月後では約3倍、6ヶ月後では、約3.5倍になる。

 

カルシウムとPH

  • カルシウムのPHは、溶解度の低い消石灰の水溶液(石灰水または石灰乳)として自然界と関わることになる。
  • 自然界は、雨水や土壌が酸性側に傾いているため、アルカリ緩衝作用が働き、むしろカルシウムは酸性中和剤としての役割を持つ。したがって、意図的かつ集中的に使用しない限り、カルシウムのPHが自然環境で問題になることはほとんどない。
  • 消石灰の水溶液のPHは、飽和水の場合で12.6になるが、酸性物質と混合してPH11以下にすれば、自然界のアルカリ緩衝作用により、意図的かつ集中的であっても、それほど問題にはならない。
  • 石灰(生石灰・消石灰)で改良した土が周辺の土に与えるアルカリの影響は周囲(上下左右)10センチメートル程度の範囲である。
  • セメントコンクリートのアルカリ骨材反応とは、カルシウムのアルカリではなく、骨材に含まれるナトリウムとシリカ(珪素)が反応してゲル状の化合物を生成し、水分を吸収して膨張する作用をいう。
  • セメントコンクリートの塩害とは、コンクリートに含まれる水酸化カルシウムが、大気中の二酸化炭素により炭酸化する過程で、骨材に含まれる塩分が中心部に移動・濃縮し、鉄筋を腐蝕させる作用をいう。
  • セメントコンクリートに見られるツララは、水酸化カルシウムが雨水により溶出、大気中の二酸化炭素と結合して炭酸カルシウムに変わる説と、炭酸化したコンクリートが酸性雨により溶出(炭酸水素カルシウムに変わる)、大気中に二酸化炭素と水を放出して再度炭酸カルシウムに戻るという説がある。前者は酸性雨を前提にしていない(酸性雨の場合、水酸化カルシウムは溶解せずに炭酸カルシウムとなる)ため、酸性雨を因子とする後者が有力説。

 

カルシウムと廃棄物最終処分場

  • 廃棄物の埋立処分の目的は、厚生省の指針によれば「生活環境の保全上支障が生じない方法で、廃棄物を適切に貯留し、自然界の代謝機能を利用し安定化、無害化することである」となっている。
  • 「自然界の代謝機能を利用し安定化、無害化する」とは、廃棄物に含まれる有機物を、主に微生物の働きによって分解(無機化)し、土に還すという意味合いで解されている。重金属類やダイオキシンを含むその他の化学的有害物質については、二次的な問題として、浸出水に溶解したものは浄化(無害化)し、溶解しないものは土の中に固定(安定化)するという消極的な考え方。
  • カルシウムを利用した埋立処分は「自然界の化学的な代謝機能を利用して、有機物を無機化(化石化:石灰化)する」ものであり、重金属類やその他の有害物質は改質(無害化)・固化(安定化)するという総合的かつ積極的な考え方になる。

 

カルシウムと覆土

  • 覆土の目的は、厚生省の指針によれば「悪臭の発散防止、廃棄物の飛散・流出の防止、衛生害虫獣の繁殖防止、火災の発生・延焼防止並びに景観の向上、周辺の環境を保全するため」とされている。
  • また、覆土により「地盤が安定し、雨水の浸透防止(浸出水の削減)も図れるので、管理対策上の効果が大きい」とされている。
  • そして「覆土は廃棄物の表面を確実に覆い、十分によく締め固め、所定の厚さと勾配になるよう、これを施工しなければならない」としている。
  • ところが「通気性が悪くなり、有機物の分解が阻害されないよう、施工にあたっては覆土の目的や廃棄物の種類等を考慮して、適切な覆土材、覆土圧及び施工方法を選択する必要がある」という矛盾を抱えている。
  • カルシウムを利用した埋立方法の場合は、その目的からして覆土の必要性がなく、「雨水の浸透防止」と「通気性の確保」とを両立させる矛盾を一挙に解決できる。
  • 一般の処分場にカルシウムを混合した廃棄物を埋め立てる場合、または汚泥などをカルシウムで改質・固化したものを覆土材として利用する場合、浸出水のカルシウム濃度が高くなり、集水管や排水処理施設にスケールが沈着する。

カルシウムとスケール

  • カルシウムイオンはプラスイオンであり、自然界の物質の表面は、ほとんどが酸化されてマイナスイオンを帯びている。このため、水酸化カルシウムの水溶液が接触するところでは、各種のカルシウム化合物が生成する。また、水酸化カルシウムの水酸化物イオン(マイナスイオン)は重金属類などのプラスイオンと結合して各種の水酸化物を生成する。これらが、皮膜となってスケールを形成することになる。
  • 一般の処分場の場合、集水管に付着するスケールは無視(対策がない)しているが、浸出水の浄化作業の前段階でカルシウムの除去作業が発生する。
  • 現在行われている廃棄物の準好気性埋立は、浸出水の集水管から空気を供給するために、集水管の内部でカルシウムイオンと二酸化炭素が接触しやすくなる。したがって、管内にスケールが沈着して集水機能を阻害するほか、嫌気性埋立を誘導することになる。

石灰アラカルト

石灰の化学的循環反応

  • 石灰石(炭酸カルシウム)を焼成すると、二酸化炭素を排出しながら生石灰(酸化カルシウム)になる。生石灰に水を反応させると消石灰(水酸化カルシウム)になる。消石灰に二酸化炭素を反応させると水を排出しながら石灰石に戻る。

 

石灰の消化吸水反応

  • 生石灰を用いた場合にのみ生ずる作用で、自重の32%の水を吸収して2倍の体積になる。このとき発熱して自重の45%の水を蒸発させる。この反応で生石灰が消石灰に変わる。

 

石灰のイオン交換反応

  • 消石灰のカルシウムイオンと処理対象物との間のイオン交換により、処理対象物同士を電気的に接着させる作用をいう。

 

石灰のポゾラン反応

  • 消石灰のカルシウムイオンを吸収した処理対象物が、さらに石灰と反応して、長い間に安定な結晶鉱物を生成しながら硬化する反応をいう。この反応はアルカリ雰囲気の中でだけ進行する。
  • ポゾラン:それ自身では水と反応して硬化する性質をもたないが、水の存在下で石灰と反応して硬化する反応性の高いシリカまたはシリケートを主成分とするもの。イタリア「ポゾラン地方」の火山灰を石灰と混合したローマンセメントに由来する。組織のち密化に役立つ。

 

石灰の炭酸化反応

  • 消石灰が処理対象物や大気中に含まれる二酸化炭素と反応して、硬化または固結化する作用をいい、この反応で消石灰が石灰石に変わる。
  • ポゾラン反応に並行、あるいはポゾラン反応が進んだ後に固結化が促進される。

 

石灰とセメントの違い

  • セメントは水と反応して固まる(水硬性)ため、混合ムラがあると強度にバラツキが出る。また、硬くなりすぎるので掘り返しが困難になる。
  • 石灰は水硬性がなく(気硬性)、白色状でもあるので、目視しやすく混合ムラや強度のバラツキが少ない。また、硬くなりすぎないので掘り返しが容易になる。
  • セメントは硬化反応が約1ヶ月で終わり、長期にわたる硬化性がないので、一度クラックが入ると復元できない。
  • 石灰の硬化反応は、ポゾラン反応から炭酸化反応と長期にわたって進むので、自らクラックを復元する作用(自癒性)がある。
  • セメントは吸水、発熱作用が少なく水硬性のため、高含水率の処理対象物の減容効果が期待できない。
  • 石灰(生石灰)は吸水、発熱作用があり、高含水率の処理対象物の減容効果が大きい(生石灰の膨張作用もあるが、それ以上の減容効果が期待できる)。
  • セメントは処理対象物を質的に改良する効果がないので、有機物を含んだ対象物の処理にはむかない。

※石灰は処理対象物を質的に改良する。

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